タミヤ 1/35 M1A2 SEP エイブラムズ戦車 TUSKII

M1エイブラムズはM60戦車の後継として開発され、1981年に最初の量産型が完成して以来、30年以上にわたって米軍の主力戦車の地位にあります。しかし、同じM1でも定期的に性能強化がされており、最初のM1と最新型のM1A2SEPの戦闘力には雲泥の差があります。当初は105mmだった搭載砲は120mm砲に強化され、車体装甲も増厚され、途中から、より強力な劣化ウラン装甲層が追加されました。この他にも車載電子機器や照準装置の性能が比べられないほど進化しています。M1A2からは車長が独自に次目標をマーキング出来る熱源映像装置塔が追加され、ハンターキラー能力を持つに至りました。M1A2SEPはこれを更に性能強化したもので、装備している熱源映像装置、デジタル通信装置、GPS装置、車載モニターなどの性能、搭載コンピュータのメモリ容量が大幅に向上しています。
M1A2SEPは、既存のM1A1及びM1A2を改修する形で2001年から配備され、2003年のイラク戦争で初めて実戦に投入されました。

タミヤはこれまで、M1、M1A1、M1A2と時代に合わせてM1戦車のキットを更新してきましたが、今回、最新のM1A2SEPをキット化しました。
M1A2SEPは電子機器の使用する電力量(=発熱量)が増えたため、機関室上部のデザインが改修され、砲塔後部のAPUも装甲付きになるなどの変化が生じています。

タミヤのキットは、M1A2SEPになって変化した外観と、TUSKコンポーネントの取付を容易にするため、車体下部と足回りを除く全てのパーツが新規となっています。キットはTUSKI装着型か、TUSKII装着型のどちらかを選択して組み立てることが可能。組み立てやすさ、説明書の分かり易さは今までのタミヤ通りで、初心者からベテランまでお勧め出来る好キットです。

TUSKとは
設計時点では、ドイツ平原でソ連の装甲部隊と遠距離砲戦を交えることに最適化されていたエイブラムズは、低強度紛争地域で市街戦を行う事など想定されていませんでした。
湾岸戦争では、イラク軍を圧倒(一説によるとキルレシオ400対1)し、戦車兵の死亡者はゼロと言う戦績を上げ、「無敵戦車」の名を欲しいままにしたM1でしたが、その後のイラク戦争と続く反政府勢力との市街戦では、携帯対戦車火器、仕掛け爆弾、更には手作りの燃料爆弾で何両かが撃破され、とうとう戦車兵にも戦死者が出てしまいました。

この事態に対応するべく、急遽開発されたのがTUSK(戦車市街戦生存強化キット)です。
完成を急ぐため、イスラエルのメルカバの装備が参考にされた他、米軍で開発中だった様々なシステムを可能な限り流用し、2004年の開発開始から2年で実用化されました。
2009年には、イラクに派遣された全てのM1がTUSKを装着しています。

TUSKI

TUSKIは、最初に実用化されたもので、サイドスカートに装着された64枚のXM19爆発反応装甲、底部の対地雷/対IED増加装甲、装填手用防循を備え、ランドウォーリアー計画によって開発された装填手用の熱映像照準器は、装填手のヘルメットに装着した800×600画素の小型有機ELディスプレイ(HMD)に映像を投影します。主砲の直上には、狙撃兵を駆逐したり、遮蔽物にこもった敵兵に対応するための.50口径機銃を装備。車体後部には随伴歩兵と戦車兵の通話装置が増設されました。
元来のTUSKIには、車長用の全周防護装甲が含まれていませんでしたが、これは多くの車両に後付けで追加されています。

TUSKIはM1A1とM1A2SEPの両方に搭載可能です。

車体下部を護るエイブラムズ爆発反応装甲(ARATI)は64枚のXM19爆発反応装甲から構成されています。M2/M3ブラッドレー装甲車の爆発反応装甲を発展させたものです。


向かって左の戦車兵(装填手)が装着しているのが、有機ELディスプレイのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)。HMDには機銃に取り付けられたAN/PAS13軽量熱映像照準器の視界が投影され、照準器を覗き込まなくても敵を捉えることができます。

TUSKII

更なる性能強化を図ったTUSKIIはM1A2SEP専用に開発されました。
大きく目を引くのは車体側面と砲塔側面に搭載された屋根瓦状のXM32爆発反応装甲です。 これは、爆発成形侵徹体(EFP)タイプのIEDに対応するための新型装備です。
爆発成形侵徹体は、爆発のエネルギーで瞬間的に自己鍛造(冷間鍛造)された金属の塊で、指向性爆発という点で成型炸薬弾に似ていますが、成型炸薬弾と違い、従来型のスペースドアーマーやスラットアーマーでは防げません。しかも低コストで作る事が出来ます。その飛翔スピードはAPFSDS弾の2倍に達するとも言われており、仕掛け爆弾としては驚異の性能を持っています。

主砲上の機銃の隣にはサーチライトが装備されています。これは目標を明確に照らすのはもちろん、その光で狙撃手の照準を困難にさせる目くらましの用途もあると言われています。

一件複雑そうに見えるTUSKIIの増加装甲ですが、巧みな一体化により、驚くほど少ない手間で組み上がります。出来上がると非常に密度感の高い模型映えする車両に仕上がります。流石に車載装備品は最低限のものしか入っていませんので、各種積荷セットを使用すれば、よりらしさが強調出来るでしょう。