サイバーホビー(緑箱) #6228 1/35 シャーマン Mk.Ic ファイアフライ ハイブリッド
ドラゴンは以前にもハイブリッド車体のファイアフライを製品化していました。このキットは現在もオレンジ箱(#9104)で現役ですが、ドラゴンのシャーマンは新製品が出る毎に金型を変更・追加することが多く、共通部品も徐々に代変わりしています。今回のキットは、#6441 M4ハイブリッド「太平洋戦線」の車体(車体上部はこのとき新金型になりました)をベースにファイアフライの砲塔を新金型で起こし、必要なパーツを追加した物です。従って、#9104とはごく一部の小物を除き、別のキットになっていると言って良いでしょう。
カルトグラフ製のデカールは3種類で、英軍近衛師団1種、イタリア戦線の自由ポーランド軍2種を選択できます。


※今回の説明ですが、普段あまりシャーマンを作っていない方も視野に入れて書いてみました。シャーマンファンの方には退屈なキャプションになっていますが、どうぞご容赦ください。なお、初心者の方にはこのキットの参考書として、グランドパワー2009年6月号が大変役に立つ事も申し添えておきます。



実車について:パンターやティーガーIを正面戦闘で破壊できる強力な火力を持ったファイアフライは、米国から供給されたシャーマンを改造して製造されました。最初に生産されたのはM4A4をベースにしたファイアフライVcです。M4A4の生産終了に伴い、後継車として、M4をベースにしたのがファイアフライIcです。M4は製造工場の違いによって、車体上部装甲板を溶接のみで作ったものと、車体前面装甲板は鋳造で製作し、それ以外を構成する溶接車体とつなぎ合わせたものがありました。「ハイブリッド」とは、こうした鋳造・溶接混合で装甲板を構成しているシャーマンへの呼称です。ファイアフライIcはいわば第二世代のファイアフライで、Icは44年から生産が始まり終戦まで使用されました。Vc配備部隊へも、損耗を補充する形で代替え配備が進みました。キットになっているハイブリッドタイプ以外にも、溶接車体をベースにしたIcも並行して使われていました。

新しく金型が起こされた砲塔は、右側面を装甲増厚した「チークアーマー」を採用し、防御力向上のため左側面のピストルポートを廃止したタイプで、砲塔の後部の張り出し(バッスル)は落ち込みの角度が大きいローバッスルタイプです。砲塔後面には、無線機収納とカウンターバランスを兼ねた大型の装甲ボックスが増設され、更にその後ろに、Icでよく見られる大型雑具箱を取り付けています。IcベースとなったM4車体ですが、この時点ではアップリケアーマーは標準装備となっていたようです。車体後部のエアフィルターは、角形と丸形が選択できます。見本では丸形を使用してみました。排気デフレクターは未装備の車両をキット化しています。車体後端の英軍固有の雑具箱もパーツ化されています。

フェンダーはエッチングかプラの選択式、見本では使用していませんが、工具止めのベルト、尾灯ガードもエッチングを選択する事ができます。見本で使用している、車体前部のライトガードとホーンガイドはプラのパーツも用意されています。

ひとくくりにスマートキットと言っても、設計者によりある程度の振れ幅は許容されているようで、このキットの設計者は「本物で薄くなっているところは、エッチングを積極的に使う」主義のようです。英軍式アンテナポスト、砲塔上面右前のサンコンパス取付台はいずれもエッチング製です。.50口径機銃は米軍で一般的な250発入り弾薬箱の他に、見本で使用した50発入り弾薬箱も選択可能で、ヨーロッパ戦線の英軍では後者を装着した例が多いようです。また、ドイツ空軍の衰えを反映してか、.50口径機銃は取り外したり、.30口径機銃に換装している車体も見る事が出来ます。キューポラは旋回式ですので、好きな位置で固定して構いません。

転輪はV8(穴がないタイプ)か、穴あきのD6のいずれかを選択するよう指示がありますが、ハイブリッドのIcでは、見本でも使用したV8の方が一般的なようです。

ファイアフライでは、通信手席は廃止されて、代わりに主砲の弾薬庫が設けられました。この為、通信手席のペリスコープは何れも閉状態にした方が良いと思われます。

砲塔をトラベリングロックの位置に回した状態。操縦席のハッチが開く位置に固定されている事が解ります。

 

 

 

砲塔上面の直接照準器K30ですが、設計ミスで前後が逆になっています。見本では、取付用の脚をいったん切り離し、説明書とは逆の向きで接着しています。Y様ご指摘有り難うございました。