ドラゴン #6300 1/35 IV号戦車H型 後期生産型
IV号戦車H型は1943年5月から44年2月まで生産され、この間ドイツ装甲師団の主力として活躍しました。長く生産されたため、生産時期によって幾つかの変更点が有りますが、キットは後期型を再現しています。設計は、G型やブルムベアの設計も手がけた日本人チームによるもので、実車の綿密な計測と、丹念なリサーチで、正確無比、密度感抜群のキットに仕上がっています。

☆完成見本は、2009年5月製品新発売時のサンプルを組んだものです。2014年9月入荷分以降は、履帯がベルト式に変更されています。


後期のH型は砲塔ベンチレーター右後方に近接防御兵器用の穴が開口されましたが、近接防御兵器の生産が遅延し、H型の多くはわざわざ空けた穴を丸板で塞いで完成しました。近接防御兵器の蓋を取り付けると、シュルツェン支持架の取り付け位置が変わりますが、キットはこれを再現するため、2種類の支持架を用意する凝りようです。

H型からシュルツェンが標準装備となったことにより、砲塔側面のハッチに取り付けられた覗視孔とピストルポートは用を成さなくなりました。キットでは覗視孔の開口部とピストルポートが溶接された状態のパーツをセットしています。

H型の規定では2丁のMG34が装備され、対空機銃架のMGは砲塔同軸機銃を取り外して取り付けることになっていました。キットにはこれを再現するため、2種類の砲塔同軸機銃のパーツが含まれています。しかし、実際には「いちいち付け替えてる暇なんかあるか」と言うわけで、どっかから調達して3丁目のMGを取り付けた個体も結構あったようです。見本は機銃3丁バージョンにしました。

H型後期の特徴として、車体下部が垂直に切りあがったリアパネルの採用があげられます。尾灯は丸形も付属していますが、見本では角形としてみました。リアパネルが垂直のH型は、最近の出版物では「PanzerWrecks8」P.71の写真が格好の例です。この戦車教導師団の車両は前方からも写っていますので、モデリングの参考になるのでは無いでしょうか。

砲塔シュルツェンはプラで、車体シュルツェンはブルムベアと同様にアルミの薄板に取り付け位置をタンポ印刷したパーツがセットされています。ご覧のように、シュルツェン本体、支持架とも十分な薄さで、必ずしもエッチングにする必要を感じない仕上がりになっています。

キューポラ前面の直接照準器と砲塔前面の雨除けはプラとエッチングのいずれかを選択できるようになっています。見本ではエッチングを使用してみました。エッチングは必要最低限の内容ですが、見本で使用したほかにも、C型シャックルの支持架、右側フェンダーの補強板、斧の台座などが用意されています。

車体シュルツェン架は、見本で使った、前から2山の頂点が削ってあるものと、下の写真のように尖ったままの物の2種類が用意されています。

主砲の装甲スリーブは2種類が選択可能です。スライド金型による一発抜きです。

箱絵のとおり、補助装甲として使うT-34の履帯も入っています。箱絵の元写真は、前出のグラパのIV号本93ページに載っています。推定では1943年10月生産車で、写真自体は1944年夏の撮影とされていますから、1年近く生き延びたベテランの車両と言うことになります。

デカールはカルトグラフ製で、東部戦線3種とノルマンディの第二装甲師団から2両がチョイスされています。

最後に、前作のG初期型と並べてみました。同じ長砲身と言う括りですが、48口径に変更され、天井厚が変更された砲塔や、正面装甲が増厚され、側面と組み継ぎで工作されるようになった車体装甲の違いが一目瞭然です。装甲板のパーツの厚みに至るまで忠実に再現された本キットならでは楽しみではないでしょうか。