ドラゴン 6360 1/35 ドイツ IV号戦車 Ausf.F2(G) (スマートキット)
ドラゴンのIV号戦車と言うと、やたら細かい分割で組むのに手間が掛かる印象がありますが、今回はスマートキットとして内容を一新して発売になりました。既存のIV号短砲身型のパーツは一切使わず、履帯のみ前作のIII号突撃砲G型と共通です。もちろん、以前発売されていた、クレオスのハイテックキットをベースにしたF1/F2とも全く違う中身です。監修者も今回から交代になり、担当されたのは、ドラゴンの秀作8.8cmFlaK36/37とSd.Kfz.234シリーズを手がけた、高田氏と岡田氏の名コンビです。タイトルにF2(G)とありますが、最近の分類では、F2は書類上にのみ(かつ暫定的に)存在した型式で、長砲身を搭載したF型シャーシは全てG型です(グランドパワー99/6)。と言っても、単孔式マズルブレーキがF2、と言うのはファンにとっては馴染みがありますので、ドラゴンとしても迷った末にこの名称にしたようです。

丁寧な実測から生み出されたシャーシ。F型シャーシと言えば、これまではイタレリかドラゴンの旧版(クレオスのハイテックキット)と言う古いキットしか無かったので、ようやくミッシングリンクが埋まった感じです。(もちろん、H型とは装甲厚や装甲の組み次ぎ方法があちこち違うのですが)タミヤのH型と並べてもそのレイアウトの違いに驚かされます。
写真は仮組状態であちこちのパーツは接着していないのですが、それでもきっちり合ってしまう、抜群の精度です。設計者(岡田氏・高田氏)自身がモデラーであることも良い方向に影響しているのでしょう、部品分割は実に巧みで、アイディアに溢れ、無駄がありません。ドラゴンの短砲身型はディティールにこだわるあまり、組み立てる側の忍耐を求めましたが、このキットにそんなところは一切ありません。むしろ、部品数は少ないのに再現性が向上している部分もあるくらいです。IV号戦車はパーツ数が多くならざるを得ない戦車ですが、組み立て途中に様々な楽しみや驚きが用意されているこのキットは組む者を飽きさせません。これぞ真のスマートキットといえるでしょう。

↑ZD50mmMacro /w OLYMPUS E300

細かいモールドも言うこと無し。フェンダーの裏側のディティール(ゆるみ止め付きのナットと通常のナットが使い分けられている)や前部マッドガードの精密感も抜群(写真はフェンダー本体に2つパーツを接着しただけの状態)。ロードホイールのロゴについても従来のメーカー名のみならず、更に実物の刻印を追求しています。起動輪や誘導輪の再現性もベストの出来です。各部には部品を取り付けると隠れてしまう、ボルト取り付け穴も再現されており、工場の組み立て担当者の気分になれるのはもちろん、クラッシュモデルを作る際にも大いに役立ちます。

4/22 組み立て完了しました。文句なく格好良いIV号戦車です!(SIGMA24mmMacro /w OLYMPUS E300)

↓ZD50mmMacro /w OLYMPUS E300

キットにはエッチングも付属しますが、全ては使用していません。車体前方機銃向かって左のフェンダー補強リブはプラの部品を使用しましたが、ここは付属のエッチングを使用した方が良かったかもしれません。

後部マッドフラップ上にある反射灯は付属のエッチングを使用してみました。中心の反射部をステンレスで再現した凝った作りです。ここはクリヤーカラーで塗装してやりたいところです。

付属のマジックトラックはセンターガイドが綺麗に抜けているのはもちろん、モールドや形状も申し分のない出来です。写真のサンプルは粘着力を弱めたセロテープ上に並べて、流し込み接着剤を一気に付けて、少し乾いたところで車体に巻き付け、転輪の下で調整しています。両側とも99枚(だったと思います)。一晩経つと多少収縮しますので、転輪への固定は翌日以降行います。

キットはキューポラも一新されており、内部の防弾ガラスのディティールも含め、別売りパーツを必要としない出来です。

後部の牽引ワイヤーフックは流石にプラでは心許ないので、真鍮線に取り替えました。牽引ワイヤー自体はキットのパーツで、ガスコンロで焼きなますと扱いやすくなります。
排気管のフチは少し薄く削ってみました。

トリセツに図示はありませんが、駐退器カバー上のリングとしてB17を、鍵受けの部品としてA57を植えてみました。あまりに微細な部品なので敢えて図示を省いていると思います(B17は取り付けが隠し穴になっているので、トリセツのミスでは無く意図的だと解ります)。
この他にもA58(ストッパー)やA56(蝶ネジ)も、不要部品でも無く取り付け説明も無い部品、と言う形で使う側の判断に委ねてあるようです。

車体各所のクラッペは可動するよう設計されており、防弾ガラスは透明部品で再現されています。砲塔つり下げフックのゆるみ止めネジも繊細にモールドされています。

リアパネルの矢印の部分に開いている隙間を再現(たぶん、IV号のキットで初めて)。


フェンダーの補強リブのエッチングはかなり有効な演出になります。昇降用ステップの部品は一体成形にもかかわらず素晴らしい出来。
クリーニングロッドの穴はピンバイスで開口しました。

あらゆるIV号戦車のキットの頂点と言っても良い製品ではないでしょうか。

このキットの特徴として、多くの不要パーツが入っていることが上げられます。スポークの強化された起動輪、2孔式のマズルブレーキ、砲塔用のスモークディスチャージャー、装填手クラッペの無い砲塔前面装甲、冷却水交換口を増設したリアパネルなど。これらはG型中期以降のキット化が予定されている為でしょうが、初期型以外のG型を作りたい方への「おまけ」と見ることもできます。G型は1年に渡って生産された型式で、名実共にドイツ装甲師団の主力であっただけに、途中で修理・補修を繰り返して実に様々な個体が存在します。自分なりの手の入れ方をする楽しみもあるキットです。

【組み立て説明書 3コマ目】

車体前部牽引ホールドに通すシャフトA31のパーツ番号が抜けています。

【組み立て説明書 4コマ目】

E23とE24をリアパネルに取り付ける際のパーツ番号記載が逆になっています。
(E23とE33を接着する指示は正しい)

【組み立て説明書 12コマ目】

D3の近くに取り付ける手すりB22のパーツ番号が抜けています。

【組み立て説明書 17コマ目】

砲塔側面ハッチの裏側枠G18のパーツ番号が抜けています。
(ここで取り付けるよりも18コマ目でG19/G24との嵌合を調整しながら接着した方がスムーズです)

【組み立て説明書 18コマ目】

G19とG24のパーツ番号記載が逆になっています。
説明書の図は正しいので、この図の通りになるよう取り付けます(ヒンジに小さい穴が開いている方が上になるように取り付けます)。

A39と図示されている部品はA37です。