サイバーホビー(緑箱) #6386 1/35 ナスホルン 3in1
ドラゴンは、これまでに3つのナスホルンを商品化しています。初代はドラゴン初のドイツ物で、残念ながら十分なクオリティではありませんでした。2代目のナスホルン(#6166)は日本人設計者によって内容を一新したもので、正確なプロポーションと精密な考証で素晴らしいキットになりました。このキットにエッチングや金属砲身、マジックトラック等を追加したのが3代目のプレミアムエディション(#6314)です。今回発売になった#6386は、基本設計は#6166を踏襲しつつ、外装を最新の金型技術で作り直したバージョンで、装甲板は極薄に仕上がりました。装甲板が薄くなった事でシャーシや車体前部装甲板も新規になったほか、砲弾ラック等、従来はエッチングに頼らざる得なかった部分をインジェクションで再現しました。

キットは、「3 in 1」として、極初期型ナスホルン(#6165 ホルニッセと同じ仕様)、初期型ナスホルン(仕様は、#6166および#6314と同じ)に加え、「極初期型改修型」(箱絵のタイプ)のいずれかを組めるようになっています。見本では、これまでのキットでは再現されていない「極初期改修型」として見ました。
正式採用当時「ホルニッセ」(スズメバチ)と呼称されていたナスホルンですが、44年1月から「ナスホルン」(サイ)に名称変更となりました。これはヒトラーの個人的な好みによるもので、書類上のものですから「ホルニッセの特徴」「ナスホルンの特徴」と言う物は存在せず、生産時期による違いのみとなっています。

「極初期改修型」は極初期に生産されたナスホルンに手を加えた車両を再現しています。外観上の主な特徴は、車内からロック解除できるようになった新型トラベリングロック、マフラー直上にあった排気管の移設が上げられるでしょう。キットでは、これに加え、主砲防循に取り付けられた増加装甲(スペースドアーマー)、予備転輪ラックの増設、予備履帯ラックの二重化、と言った要素も盛り込んでいますが、個体差もかなりあり、全ての極初期型がこのように改修されたわけでは無いようです。また、極初期改修型のトラベリングロックは、より後期のトラベリングロックと異なる過渡的な形状をしており、ロック解除用のワイヤーとレバー状の金具で連結されています。
※見本ですが、レバー部分を折損してしまった(下手くそ!)ので、自作しています。ワイヤーは金属線が入っていますが(これは気持ちだけ頂いて)伸ばしランナーで自作しました。

キットの排気管は3種類が用意され、生産当初のタイプ(排気管がマフラーの中央上に付いている)、写真のいったん排気管を切り取って穴を埋め、左側面から出したタイプ、マフラーを廃止したタイプ、があります。これは、単純に乗員の乗降の際に邪魔になり、折損しやすかった事が原因のようです。

起動輪はIII号戦車初期型と同じパターンと後期型と同じパターンを選択できるようになっています。見本では前者としてみました。
足回りはスマートキット版IV号戦車のパーツで一新されており、組み立てやすい上に非常に精密に仕上がります。このほか不要部品としてハブ中央部のキャップを取り外した起動輪も入っています。

金属砲身は、プレミアムエディション(#6314)でも入っていましたが、2ピース砲身の先端部分のみでした。本キットでは砲尾ブロックの直前まで金属砲身となっています。これに伴い砲尾のパーツも新金型となり、分割方法も見直されています。細かいところですが、無線手ハッチ後方の雨樋も本キットで初めてパーツ化されました。雨樋のエッチングを曲げる際、偶然にもタミヤペイントマーカーの軸がぴったりの太さでした。

ナスホルンは有名な割に写真が少なく、現存車両(アバディーンとクビンカに一両ずつ)は車内装備品の大半が失われています。このため、実車研究は現在も進行中のようで、本キットでは前作に無かった砲手用の脚掛け(E28)、用途不明?の箱(E5)、何かの装備品の取付架(MA16)などが追加されています。

砲周りは、砲尾ブロックが新金型、照準器と外部視察用のペリスコープは透明部品を交えた新金型になっています。カニ眼鏡もよりシャープなモールドの新金型です。カニ眼鏡を支える揺架はエッチングも用意されています。装甲板は非常に薄く仕上がっており、エッチングにする必要を感じません。D50はD44の面から気持ち突き出ている個体が多いようです。

初期型のナスホルンの主砲防循左には切り欠きがありますが、試作段階で予定されていた照準器が変更になり、この切り欠きも不要になったので、量産型では全ての個体で装甲パッチ(E52)を溶接して塞いでいます。より後期のナスホルンでは切り欠き自体が廃止になっています。

プレミアムエディション(#6314)ではエッチングで精密再現されていた主砲弾薬庫ですが、インジェクションのみで、ご覧の精密再現度です。また、#6314では片側のみのパーツが用意されていたのですが、本キットでは両側分の内部パーツが用意されています。砲弾を支えている留め金は、(砲弾を取り出す際の)倒した状態にする事も可能ですので、戦闘中の情景を作る際の演出も簡単にできます。

トラベリングロック根元のスプリングは形状加工済みのパーツが入っており、簡単に取り付ける事が出来ます。素材もよく考えられており、反発が少ないので、取り付けた後に外れてしまう事もありません。

装甲板を薄くしただけなのかと思いきや、様々なところに細やかな改良が加えられており、特にクルスク戦に投入された極初期型を精密に作りたい方にはもってこいのキットでは無いでしょうか。プレミアムエディションをお持ちの方も、より簡単な工作で精密感を出せる点で実に悩ましいキットだと言えるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3コマ目 操縦手/無線手ハッチA8用のヒンジはA21です。
3コマ目 (極初期改修型、初期型限定)K21は、トラベリングロックM13を固定するヒンジです。ここでは取り付けず、トラベリングロックを取り付ける際、M13に接着します。

5コマ目 燃料注入口のフタ(A1)の取付指示が抜けています。

6コマ目 履帯ピン抜け防止機構(F29+F30)は2種類の取付位置が選べるようになっています。ポジションによって切り取るピンを選びます。どちらも有るようで、クビンカとアバディーンのナスホルンは共に赤いピンを使用(青いピンは切り取る)するポジションになっています。一方、同じ車体を使用してるフンメル後期型のパットンミュージアムに残っている個体は青いピンを使用(赤いピンは切り取る)ポジションとなっています。

10コマ目 D20とD14、D55の取付位置の図示がずれています。また、D15取付指示が抜けています。

10コマ目 照準器は普通のプラ(D26)か、透明プラ(J3)の選択式です。

12コマ目 右側面のMG揺架(M31)と取付架(MA7)について。キットのような場所に取り付けている個体もあるのかもしれませんが、一般的には、左側面の取付位置と左右対称になる位置に付いています。見本ではそのように取り付けました。ちなみにキットの図示位置に取り付けると弾薬箱の開いた蓋と干渉します。

13コマ目 F6とF7が誤植で逆になっています。イラストの形状と取付位置は正しくなっています。
13コマ目 砲弾F20とF2の合いがかなりきついです。F20の(見えない)裏側を少し削るとうまく合うようになります。

15コマ目 誤)F10(F11) →正)E10(E11)
15コマ目 誤)C20(C20) →正)J7