ドラゴン #6520 1/35 IV号突撃砲初期型
これまでキットに恵まれているとは言い難かった、IV号突撃砲の決定版キットです。ドラゴンは以前にもIV号突撃砲をキット化していましたが、今回のキットはスマートキット版IV号戦車H型後期をベースにしたもので、以前のIV号突撃砲のパーツは一切使用していません。車体下部と足回りのパーツこそ戦車型と共通ですが、戦闘室と機関室上部、リアパネルの一部、更にOVM、ザウコップ防循等は新金型で、IV号突撃砲の精悍なプロポーションを初めて完全に再現したキットと言って差し支えないでしょう。


Thanks to Mr.lung of DML for the review kit.

参考文献:グランドパワーNo.42 (1997/11)(当店に販売用の在庫は有りません)

ドイツ軍は1943年の夏以降、守勢に回る事が多くなり、前線ではIV号戦車H型よりも防御戦闘に優れたIII号突撃砲G型を希望する声が多くなりました。しかし、時を同じくして、III号突撃砲の生産工場は空襲により壊滅的打撃を受けてしまいます。このため、III号突撃砲の戦闘室を可能な限り活かして、IV号戦車車体を使用した突撃砲が急遽開発されました。これがIV号突撃砲で、43年12月以降は突撃砲部隊の主力兵器として使用されました。

上部転輪ですが、戦場写真ではA13+A14の方を多く見かけるようです。また、初期型の誘導輪は鋳造タイプ(A7+A11)が多いようです。

見本では、オプションとして用意されている、戦車型のフェンダー(K34,K35)を使用してみました(詳しくは後述)。


リアパネルのK25は、砲塔旋回エンジン用のマフラー(IV号戦車用の装備であって、砲塔の無い突撃砲では不要です)の穴を塞ぐパーツです。K25が初期型で、のちにK17のタイプに変わります(明確な変更時期は解っていません)。リアパネル左の予備履帯ラックは初期型の特徴です。

IV号突撃砲の謎の一つとして、シュルツェン表側に2本のボルトが打ってある点が上げられます(位置からしてステーを留めるボルトでは無い)。ドラゴンのキットはこれを二重装甲の留めボルトとして再現しています。何か新資料が見つかったのかもしれません。

戦闘室右側面の予備履帯ラック、台形をした操縦手ハッチ、角張った跳弾ブロック、皿ネジを使用した戦闘室天井板など、初期型の特徴が余さず再現されています。

砲塔旋回補助エンジンの燃料注入口は丸板で塞がれたモールドが施されています。


IV号突撃砲はIII号突撃砲の戦闘室を無理矢理載せたため、接合部に隙間があります。これは精度が悪かったのでは無く「これはこれで良かろう」的処置だったようで、斧のクランプはこの隙間に収まるのが正しい、と言う仕様になっています。キットはこの特徴も巧みに再現しています。

シュルツェン支持架は極薄で仕上がっているのみならず、△の根元は丸みを付けて曲げてあるのが再現されています。もはや下手にエッチングに換えてしまうと却ってリアリティを損ないそうです。

戦闘室内部は、砲尾、照準器、床板、無線機ラックが再現され、ハッチから見える範囲の再現としては十二分だと言えます。

IV号突撃砲のフェンダー前端は戦車型とは異なった独特の形状をしており、側面にはリベットがありません。キットはIV突で標準的なタイプのフェンダーを新たに金型を起こして再現していますが、初期型に少数混じっていたと言われる、戦車型と同じ形状のフェンダーも再現できるようになっています。
(戦車型のフェンダーを付けるにはフェンダーの先端を切り取ってパーツを差し替える必要があります)


見本では、その考証のマニアックさに思わず戦車型のフェンダーを使用してしまいましたが、製品レビューとしては解りづらくなったと思い、反省しています。一説によると、戦車型のフェンダーを付けたIV突は(IV号突撃砲の主力生産工場である、クルップ社のマグデブルグ工場製では無く)ダイムラー・ベンツ社製のIV突に見られる特徴との事です。老婆心から付け加えますと、戦車型のフェンダーを使用した場合は、H37/H32のリベットは削りません。

12コマ目のオプションのK5は操縦手ハッチに雨水が流れ込まないようにするための雨樋です。見本では初期型を演出するために取り付けませんでしたが、戦場写真での多くは、雨樋を取り付けているようです(写真は仮置きなので位置は適当です)。

特に説明書の間違いは無かったと思いますが、若干解りづらい部分があったので補足します。

8コマ目:H3は履帯交換金具ですが、クランプへの取り付け向きが逆になっているH4を付けても構いません(説明書では、番号はH3ですが、イラストはH4になっています)。何れの例も見られるようです。

10コマ目:K37の裏側のダボを切り取るように指示されていますが、これは、14コマ目でC型シャックルを右側フェンダーに取り付ける場合のみそうします。もし12コマ目で、戦闘室前部にC型シャックルを取り付ける場合は、ダボは切り取りません。C型シャックルの位置は、初期型では、戦闘室前部/右側フェンダーどちらの車両もあるようですが、中期以降は右側フェンダーに取り付ける例が多くなり、更に後期型では戦車と同じく左フェンダー前部に移動するようです。

12コマ目:D1の隠し穴を開口するのは、この位置にC型シャックルを取り付けるときのみです。

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