サイバーホビー(緑箱) #6526 1/35 IV号戦車H型中期生産型
大変好評だったドラゴンの#6200 H型後期に続く第二弾は、1943年秋に生産されたタイプを再現した中期型です。#6200が43年末から44年年初の生産タイプを再現していたため、情景派にとっては選択肢が広がるキットだと言えるでしょう。また、このキットは右側面にエアフィルター(キャブレーターに取り込む混合気用の空気からホコリを取り除くための装置)が付いており、MM世代に取っては「この姿がIV号H型だよ」と感じる方も多いと思います。

※見本では、別売りの#6655のフィギュアセットと絡めた形でご紹介しています。#6655のタイトルは「41年スモレンスク」となっていますが、国防軍戦車兵として43年にも使える服装になっていますので、今回組み合わせてみました。

ドイツ軍では43年夏に新世代の主力戦車パンターをデビューさせます。しかし、容易には数が揃わず、終戦に至るまでIV号無しにドイツ装甲師団は成り立ちませんでした。IV号H型は車体前面を80mmの1枚板に増厚し、新型機動輪(最終減速器内の強度が上がっていると言われています)を装備したタイプです。カタログスペックではT-34に見劣りするIV号ですが、優れた光学兵器、ドイツ軍の巧みなドクトリンと熟練の乗員の組み合わせで、多くの戦場ではT-34を圧倒しました。この時期のH型はドイツ軍の主役を堂々と張った、IV号の絶頂期とも言える生産型で、情景でも活躍してくれると思います。ノルマンディ戦でもこのタイプのH型を戦場写真で多く見る事が出来ます。

ドラゴンでは「スマートキット」と銘打ったキットを多く出していますが、組み立てやすさと精密さがうまくバランスしているという意味で、IV号系列はかなり上位に位置する完成度です。これは設計に携わっているスタッフが普段から手を動かす事をいとわないモデラーである事が関係しているようです。組み手に対する細やかな配慮の感じられる設計で、ドラゴンの技術水準を知る上で一度は製作をお勧めしたい名キットです。

H型からアンテナポストは車体左後端に移設されましたが、右側面のアンテナケースはそのまま残されているのがこの時期の特徴です。このケース下部には予備アンテナを収納するようになっており、この為に残されたようです。エアフィルターが廃止された後は予備アンテナはフェンダー上に簡単な金具で直留めされるようになります。

G型後期から、車体右側面には、エアフィルターが装備されるようになりました。この装備は、ホコリの多い東部戦線では必要な装備だったのですが、実際に使うと被弾に弱く、トラブルが絶えない事から、後には廃止されてしまいます。実戦に投入された車両でもひどく損傷していたり、外してしまったりした車両も目に付きますが、この時期のIV号を表現するのには欠かせないパーツです。キットのパーツは素晴らしい嵌合で、ぴたりと組み上がります。

この時期までのH型は車体後部下端が斜めにそぎ上がった形状になっています。43年末には生産性向上のため、この部分は省略され、リアパネルと車体下部は垂直に近い形で交わるようになります。

今回のキットで非常に地味ながら見逃せない部分。H型は生産後期から、ブレーキ点検ハッチのある装甲及び車体前面装甲が側板と組み継ぎ構造になりました(#6200)。このため、組み継ぎ車体では車体側板が前面装甲板よりも前にはみ出しています。今回のキットでは側板とブレーキ点検ハッチ装甲の溶接線が車体上面に有り、かつ、前面装甲が(50mmから80mmに増厚された分)側板よりもはみ出しているという、80mm装甲車体前期の特徴を再現しています。おそらく、この部分を正確に再現したH型のキットはこれが初めてでしょう。

シュルツェン架はN2+N2と、見本で使ったN18+N19の2種類が用意されています。違いはスカートを引っかけるための△が面取りしてあるかどうかです。最初は全て尖っていたのが、後期には面取りされるようになったようです。この時期はどちらも混在していたようですが、#6200の見本では面取りした方を使いましたので今回は面取りしてない方を使ってみました。シュルツェン前端の台形の部分も2種類が用意されていますが、見本ではより前期に使われたと思われる、切り欠きのない方を使ってみました。

戦車部隊はエリート部隊として、実用性よりも象徴性を優先した黒服を着て戦いました。戦局が困難になった戦争後期は迷彩服が支給されますが、ベテランの戦車兵はその戦歴を誇示するように黒服を着用し続けた例が見受けられます。#6655は直球ストライクの決めポーズですが、それだけに定番として広く望まれていたであろうポージングです。モールドも良く塗りやすいフィギュアとして初心者からベテランまでお勧めです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2コマ目 A31を内側から差し込んでいますが、組立見本のように外側から差し込みます。
3コマ目 誤)A11→正)A9  誤)A12→正)A10
4コマ目 誤)D9(D10)→正)D10(D9)
8コマ目 C7にシュルツェンステー(N8,N5)を取り付けるための穴を開口しておきます。また、N5はエアフィルターとアンテナケース(C9)を取り付ける前に取り付けた方が良いと思います。
12コマ目 H8は取り付けません。