ドラゴン #6540 ヴィルベルヴィント
「8トンハーフの四連装パーツとIV号戦車の車体を組み合わせただけでしょ?」と思うのは早計で、組めば「ヴィルベルヴィントってこういう車両だったのか!」との発見が必ずある期待以上の良作です。
キットは既に高い評価を得ている#6300 IV号戦車H型後期(スマートキット)をベースに、新規の部品を追加したものですが、OVMの関係で、車体上部右側面は新規パーツ、車体後部には2cm機関砲の予備銃身ケースが追加されています。エッチングは例によって必要最小限で加工の難しくないもの、プラパーツと選択できる部分が大半ですので、エッチングの苦手な方でも大丈夫です。カルトグラフデカール付き。

実車について
ドイツ軍は自走対空車両を既に各種持っていましたが、戦車部隊に随伴して路外機動を行え、かつ適切な装甲防御が施された車両として、44年7月から生産が始まりました。何れ後継の3cmMK103搭載対空自走砲に置き換えられる予定でしたが、実際には終戦間際まで生産が続きました。車体は前線から返ってきたIV号戦車を転用したとされており、G型以降が混在していたようです。

Thanks to Mr.lung of DML for the review kit.

砲塔はわずか3つの主要部品から成ります。これに加え車体側に装備する、ボールベアリングが露出した装甲リングのパーツが入っています。(最初の写真の右下)
装甲パーツは大変薄く成型され、エッチングの必要を感じません。ちなみに実物は全周16mm装甲板ですから、1/35換算では0.46mm。ドラゴンのキットは、0.6mmでその差、0.14mm。溶接蹟のモールドも大変美しく入っています。

このキットで初めて再現された点の一つとして、砲塔左側面後部にある、装甲板のエグレが上げられます。ヴィルベルヴィントの装甲板は、四連装の照準アームと干渉してしまうため、実物は製造時に現物合わせで装甲板を削っていました。キットではエグレが再現してあるばかりでは無く、実際にアームが窪みにぴたりと収まります。
※実物のエグレはナッツアンドボルトNo.13のP.66-P.67の写真で確認できます。

砲塔はタミヤとほぼ同じ寸法ですが、組み上げた印象はタミヤと微妙に異なります。これはタミヤの車体下部がドラゴンより幅が広く、タミヤの車体上部のスポンソンはドラゴンより幅が狭い事によるようです。

ヴィルベルヴィントの四連装対空砲は、砲塔装甲板に吊り下がっているのでは無く、戦闘室内部に組まれたマウントの上に取り付けられていました。ドラゴンのキットは初めてこれを再現。なお、砲塔装甲板は四連装の後ろから延びている金属バーで連結され、四連装が回転するとそれに引っ張られて、砲塔リング上に設置されたボールベアリングを備えたリングの上を滑るようになっています。キットはこのリングもボールベアリングのモールドと共に再現しています。
改造母体になったIV号戦車が動力旋回砲塔なのに、なぜヴィルベルヴィントは手動旋回砲塔だったかは、この構造からご理解いただけるのでは無いでしょうか。


対地上射撃の際に開く小ハッチはヒンジが別パーツになっていたので、可動にしてみました(あんまり遊んでいると壊れそう)。また、2cm機関砲の砲口は少しだけ浚ってあります。
照準器の連結ロッド(A45)はゴム系の接着剤で軽く止めました。あまり何度もは無理ですが、自分なりの角度を決める間くらいの回数は可動します。

ヴィルベルヴィントは、様々な型式のIV号戦車を母体に改造されたようで、中には車体正面装甲50mmのIV号戦車G型がベースになっている写真も有ります。ドラゴンのキットはH型後期をベースに設計していますが、ドラゴンのIV号戦車G型と二個イチにするのも面白いでしょう。車体後面の砲塔旋回エンジン用マフラーは実車同様撤去され、四角い蓋のパーツで埋めるようになっています。

組立説明書でシュルツェン架取付基部のパーツの図示が抜けています。左右それぞれ7カ所ずつで、#6300 IV号戦車H型後期型のクミセツにはちゃんと図示されていますが、もしお持ちで無い方は下の写真をご参照ください。左右7カ所ずつで、プラパーツの代わりにMA17のエッチングパーツを選ぶ事もできます。プラパーツは4種類ありますが、エッチングは1種類です。
7/9 2cm機関砲予備銃身ケースの取付架の番号が間違っていたので写真に追加しました。

組立説明書14コマ目、誤 A39 → 正 A55、誤 A38 → 正 A56