サイバーホビー(緑箱) #6594 1/35 IV号戦車G型 1943年4-5月生産車

※この見本は、2010年発売の初版を製作しています。2014年8月再生産分は、履帯がベルト式に変更されています。

【実車について】
IV号戦車G型は、それまで火力支援戦車としてIII号戦車をサポートする立場だったIV号戦車F型の7.5cm24口径砲を43口径の長砲身に換装し、強敵T-34/76を撃破できるようになった戦車です。設計当初、装甲師団の中核を担うと期待されたIII号戦車はIV号戦車よりも先進的な機構を搭載した戦車でしたが、車体をコンパクトに設計しすぎて、過酷な火力増強合戦についていけなくなったのです。当初F2型として正式採用になった長砲身型ですが、その後すぐにG型に名称変更されました(これがドラゴンから#6360として発売になったG型初期型です)。前線部隊からは大変歓迎され、1942年冬のスターリングラード救出作戦(冬の嵐作戦)では、所属戦車を全てIV号戦車長砲身型に統一した装甲師団が投入されています。しかし元々火力支援戦車であったIV号の装甲は一番厚いところでも50mmと、防御力は十分ではありませんでした。このため、生産途中から車体前面の50mm装甲に30mm装甲をボルト止め/溶接するようになります(このタイプが#6363です)。G型の改良は休むことなく続けられ、43年春からは、43口径だった主砲に代えて、更に貫通力の高い48口径に置き換えたタイプが登場します。また、この時期には、対戦車ライフルやバズーカ砲への対策として、砲塔と車体側面にシュルツェンと呼ばれる装甲板が取り付けられるようになりました。今回ドラゴンがキット化したのは、この時期の車両で、改良のかなり進んだ「G型後期」と言って良いタイプです。G型後期は、ドイツ軍最後の攻勢となったクルスクの戦い(城塞作戦)では、文字通りドイツ装甲連隊の主力として奮戦したのです。

ドラゴンのIV号G型はこれで三作目ですが、G型は生産時期によって戦闘能力も外観も大きな差がある車種ですので、妥当な商品開発だと思われます。
今回の外観上の特徴は、なんと言っても主砲の48口径化とシュルツェンの装備で、H型に大きく近づいた時期のG型を余すところ無く再現しています。この時期には43口径と48口径の生産車が混在しており、キットでも、43口径主砲がオプションとして用意されています。シュルツェンは、車体用がアルミの打ち抜き、砲塔用はインジェクションです。これまでの商品紹介でも書きましたが、どちらも薄さ、形状再現とも申し分なく、シュルツェン架の形状再現についてはエッチングパーツを凌いでいる部分もあります。プラ製砲塔シュルツェンの薄さは現在の金型技術の限界とも思える凄さです。

長砲身化したためアンテナと干渉するようになった主砲の右付け根には表面に木片を取り付けたアンテナガードが装備されています。
見本では、アンテナを事務糊のピットマルチで接着し、動くようにしてみました。

この時期の砲塔シュルツェン後部にはほぼ半周部分に渡って、下部に木製のアンテナガードが取り付けられています。この措置はアンテナポストが車体左後端に移動するまで続けられました。車体シュルツェン取付架は、後のタイプとは違い、シュルツェンの切り欠きに引っかけるタイプの初期型です。

この時期のドイツ車両は三連装のスモークディスチャージャーを砲塔両脇に装備していました。しかし、小口径の銃弾が当たっても自爆して視界が塞がれること、装填のため乗員が外に出なくてはならないことなど、問題も多く、短期間で装着は取り止めになりました。

車体の増加装甲は美しい溶接跡のモールドが施されています。

G型初期(#6360)との比較。同じG型とは思えないくらい違いがあります。主砲と車体装甲の強化に加え、砲塔キューポラも重装甲タイプに変更になり、跳弾リングが取り付けられました。砲塔上面と車体ハッチにあった信号弾発射用の小ハッチは廃止、砲塔側面と装填手用の砲塔正面クラッペも防御力強化の為廃止されました。ノテックライトに換え、ボッシュライトが装備されました。操縦手用の直視覗視孔は廃止され、溶接で塞がれています。見本で使用した増加装甲は、この部分を避けた切り欠きが残ったタイプですが、キットにはこの部分が直線になったパーツも入っています。

H型後期(#6300)との比較。「長砲身・80mm装甲・シュルツェン付き」でひとくくりにされやすいのですが、かなり差違があることが解ります。前面装甲はG型が50+30mmなのに対し80mm一枚(当然80mm一枚の方が防御力は上です)、前面装甲板上部には車体ハッチ倒れ止め用の棒が溶接され、ボッシュライトは左側フェンダーのみに。写真には写っていませんが、起動輪と最終減速器カバーも強度を増した強化型に、シュルツェン架も外れにくい新型になりました。細かいところですが、予備転輪ラックは両者で細部が異なります。