サイバーホビー #6600 1/35 ティーガーI 極初期型 第502重戦車大隊 レニングラード 1942/3


【実車について】
第502重戦車大隊はティーガーIを初めて受領した部隊です。最初に生産された20両のティーガーは、それ以降に生産された車両とは異なる特徴を持っていました。左右それぞれ専用の履帯(ミラー履帯)、車体装甲板側面にある謎の切り込み、アフリカに派遣された第501重戦車大隊の極初期型とも異なる装備品の配置等々。未だに謎の部分や研究者により意見の分かれる部分もありますが、そのミステリアスさも魅力となっている車両です。第502重戦車大隊は、当初こそ軟弱な地形と巨大な戦車の取り扱いに苦しみますが、経験を積むと、文字通り無敵戦車となったティーガーを駆使して多数のロシア軍戦車を撃破しました。後に戦車エースとして著名なオットー・カリウス氏を輩出した部隊としても有名です。

キットは三種類の塗装例が紹介されていますが、極初期のティーガーは20両の中でも個体差が大きく、それぞれに特徴があります。
見本は箱絵の「3号車」としてみました。この車両は長く生き残った為、ミラー履帯を止め、のちの生産車で標準になった「本来の左側履帯を右側にも履く」運用に変わっています。記録写真では雪や泥がつまって履帯のパターンは確認できませんが、車体前面の予備履帯の装着方法(ミラー履帯車両では2種の予備履帯を掛けているが3号車はそうでは無い)ことから、この可能性が高いです。もちろん、配備当初はミラー履帯になっていたはずですから、ユーザーの好みでどちらを履かせても構いません。

センターガイド穴が再現されたベルト履帯。ガイド自体の厚みも薄くなっています。形状やモールドは素晴らしく、このままでも十分と思える出来です。見本では好みで1枚分詰めました。
キットには右用履帯1本と(本来の)左側用履帯が2本入っています。

3号車と100号車は泥詰まりを軽減するため一番前の外側転輪を外しています。#6600は転輪留めのワッシャ?をエッチングパーツで再現しています。キットの123号車は部隊到着直後を再現しているため、転輪を装着するようになっています。123号車も、もし生き残って晩秋を迎えていれば転輪を外した可能性は高いでしょう。(現在のところ123号車は写真が少なく詳細は不明です)

100号車の写真では取付台座の金具だけが残され、何が装着されていたか謎とされてきた、車体後面左肩ですが、#6600では、履帯調節工具の収納箱が装着されていたと解釈しています。

今回新たに排気管の延長部品も入っています。このパイプ状の部品は、大日本絵画の「重戦車大隊記録集1」の3号車の写真でも確認できますが、近年まで詳細は不明でした。排気管にスリットが入っている事が解る写真が発掘された事から今回のキットに入ったようです。100号車はもっと長いパイプを装着しており、キットにも2種類のパーツが入っています。パイプのパーツはドラゴン得意のスライド金型で一発抜きです。

III号戦車のものを臨時に付けたゲペックカステンは新規パーツで、左右非対称のタイプが入っています。

いまだに謎が多いのが、車体上面のレイアウトです。#6252では、牽引ワイヤーは未装着と解釈し、クリーニングロッド固定具もワイヤー取付部の無いパーツをセットしていましたが、今回のキットではご覧のように大幅に変更となっています。100号車・3号車・123号車それぞれの専用隠し穴を用意するなど、凝った仕様になっていますので、新たに見つかった未公開の資料を元にリサーチしているのかもしれません。#6252のパーツも不要部品でそのまま残っていますので、好みで取り付ける事も可能です。

OVMはエッチング製クランプと組み合わせるタイプも入っています。

3号車は、121号車と同じく、砲塔側面前端上部に手すりが装着されているようです。

見本では作らなかった残りの2車についても簡単にご説明します。

100号車:ロシア軍に捕獲され兵器展示会に出品された事から、極初期型の中で一番有名な個体です。砲塔両脇に取り付けたスペシャルな雑具箱も特徴的で、模型映えする車両です。捕獲後の写真では多くの装備品が失われており、排気管の延長パイプもこの時点では付いていませんが、近年、パイプを装着している写真がネットオークションに出品されて話題になりました。この辺りについてはホビージャパンのMMM No.21の寺田光男氏の記事に詳しいです。寺田氏は日本におけるティーガー研究の第一人者であり、この記事も興味深い記述が満載です。履帯は最後までミラー履帯でした。

123号車:デカールの設定は1942年9月の時点ですから、大隊がティーガーを受領し始めた直後の状態です。大日本絵画の「重戦車大隊記録1」では123号車はIII号戦車と推定されています(同大隊は、ティーガー不足から当初、III号戦車L/Nとの混成装備でした)が、近年この車両の写真が見つかった事から、少なくともある時点では123号車はティーガーだった事が判明しました。現地改修などが行われる前の状態ですので、ナンバー替えで別の個体を作りたい場合は、この車両の仕様で作るのが無難です。運用が進むにつれ、3号車と同じように履帯を通常型に変更したり、排気管延長を行った可能性もありますが、この車両の戦歴については現在の所詳しい事が解っていません。その分「オレ設定」をふくらませても突っ込まれる可能性の少ない個体です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20コマ目 S24とS25の図示が逆になっています。
21コマ目 予備アンテナケースK5の取付指示が漏れています。