サイバーホビー(緑箱) #6678 1/35 日本海軍 特二式内火艇 カミ 陸戦型
Dragon #6678 IJN Type2(Ka-mi) Amphibious Tank (Combat Version)

特二式内火艇はドラゴン初の1/35日本戦車。設計はお馴染みの高田氏と岡田氏のコンビです。
ドラゴンの金型技術はまたひとつ階段を上ったようです。必要最小限の数のパーツで構成されていながら、ご覧の精密感。パーツ一つ一つは凄まじい解像度になっており、繊細な日本戦車のテイストを余すところなく再現しました。組立も容易で、おそらく普通のスピードの方で3日は掛からないでしょう。市販書では良い資料の無い本車ですが、丁寧な実車取材の上に設計されたキットですので、キットから教えられることも多いのでは無いでしょうか。

【実車について】
上陸作戦時、兵士の盾となり海岸の防御拠点を速やかに制圧できる水陸両用戦車は、各国が第二次世界大戦前から研究に取り組んでいました。日本の特二式内火艇は95式軽戦車を元に開発され、昭和17年(1942年)制式化されました。海上を航行する場合は、前後にフロートを、砲塔上には展望塔、機関室上部にはダクトを取り付けます。上陸後はこれらの装備は取り外す事になっていましたが、フロートを付けたままでも射撃できる点が優れていました。強襲揚陸に使う事はもちろん、沖合で輸送船から降ろし、港湾設備の貧弱な離島にも機甲兵力を提供できる点が便利で、180両あまりが生産され、海軍陸戦隊の貴重な機甲兵力としてあちこちの島に送られました。初陣は昭和19年のサイパンの戦いで、防衛戦ですから、フロートは装着しませんでした。本キットはこのときに様子を再現し「陸戦型」としたものです。

本車は基本的に水密構造になっており、航行中の機関の点検を容易にするため、機関室と戦闘室の間にバルクヘッドがありませんでした。さぞかし車内は暑くうるさかった事でしょう。砲塔両脇にあるのは、乗員の乗降口兼吸気口で、見本で左側をそうしているように、少しだけ開けて吸気することができました。本車は6人が定員でしたが、これは機関故障が死につながる洋上航行時に万全を期するため、機関のメンテナンス要員(エンジン両脇に十分なスペースがあり、車内から調整出来ました)を搭乗させたためで、陸戦時は4人のみが搭乗していたのでは無いかと推測される方もおられます。

車体に計7カ所あるカニのハサミのようなフックはフロート装着用です。上陸後は内部からハンドルを回せばパージする事ができ、戦闘中に外に出なくて良い設計になっていました。

前部の斜めになった装甲板に開いている穴はピストルポートのようです。キットでは、開閉を選択する事が出来ます。

後部のスクリューは左右でハネの向きが違い、航行中に片方にヨレないようになっていました。

キットでは前照灯はオプション扱いです。また、前方機銃と覗視孔の間にフックがあるのを「前期型」、これが廃止され鉄板で塞がれているのを「後期型」としています。見本では前期型としました。

砲塔内部は、砲塔正面の覗視孔の車内への張り出しや砲尾、薬莢受け、砲手側にある旋回ハンドルなどが再現されています。本車には砲の昇降ハンドルは無く、砲手が肩で上げ下げする構造になっていたようです。搭載された37mmは95式軽戦車に搭載された94式戦車砲より少し威力の高い、98式戦車砲が装備されていました。

アンテナもオプション部品です。アンテナを外した状態でも撮影してみました。後部の反対側にある「く」の字の金属棒は対空機銃架で、これもオプションで取り付けていない状態のパーツも入っています。その前にある透明部品は「青」「黄」「赤」のランプが付いた通信塔で、こちらもオプションです。

機関室上部のスリットは「当然ですよ」と言う感じで貫通していますが、凄いモールドです。排気管のカバーはエッチングですが、材質の柔らかさがちょうど良く、マフラー自体を治具にして容易に曲げる事が出来ます。

燃料注入口ハッチは開閉選択式で、その下の燃料タンクも再現されています。

ドラゴンでは「顧客全体としてはベルト履帯の方の要望が高い」と分析しているそうで、本作では、ベルト履帯が入っています。ご覧のように接地面のモールド、センターガイドの抜け、日本戦車の履帯独特の側面の肉抜き、履帯ピンの差し込み穴も非常にシャープに再現されており、申し分ない出来です。
※別売りのマジックトラック(近日入荷予定)を組み込むとこんな感じです

本車は転輪の内側にあるボルトヘッドの形状が左右で異なると言う変わった設計になっています。キットでもこの点が再現されていますが、完成後は解らなくなります。見本では、組み立てた後にこのことに気づいたので写真がありません。転輪は95式と違い軽め穴が開いています。エッチングを使い車軸基部が繊細に再現されています。ボギーについている極小ボルトは一体成型で、間違って削り取らないよう細心の注意が必要です。

砲塔両脇のハッチは吸気のための小ハッチが上についており、その下にはスノコ状のスリットがありました。吸気口を開いた状態にできるパーツと閉じた状態のパーツ、両方が入っています。

換気口直後の燃料給油口の下には燃料タンクが再現されています。フロートをパージするためのフックの裏のハンドルも再現されています。完成後には見えなくなりますが、資料の少ない本車ですが、こういったところが模型を組みながら明らかになる、と言う楽しい設計になっています。

照準口を保護する涙型の防弾板や砲塔ハッチのピストルポートカバーは「開いた状態」「閉じた状態」が再現されたパーツがそれぞれ入り、組立が簡単です。

車載機銃の放熱ジャケットの上に開いた放熱口はスライド金型で再現。機銃口も最初から開いています。この部分だけでも別売りして欲しいパーツです。

プロペラの取付部にあるギアのモールド。完成すると見えなくなりますが、この辺も組んでいるときの楽しさを増加させてくれます。車体側板の薄さにもご注目ください。

同じ37mm砲搭載のIII号戦車F型との比較。95式戦車が芯になっていることから小柄と思われがちな本車ですが、浮力を付けるためと、航行中にエンジンを点検する必要から、ほぼ同じ車格となっています。

別売りの赤箱 #3888 カミ車用マジックトラック \1,900(+税)を組み込んだ状態で撮影してました。


接着にはいつものとおり、リモネン接着剤を使用しています。安全で強力なリモネン接着剤ですが、乾燥が遅いという欠点があります。しかし、じっくり調整の必要なマジックトラックには最適の接着剤です。履帯を(接着力を弱めた)セロテープ上に並べ、リモネンを裏側から流し込んで塗ります。この後10-15分くらいして、本体に取り付けます(乾燥時間は接着剤のメーカーにより異なります)。履帯を持ち上げてもばらばらにならない位が時間の目安です。巻き付けてしばらくすると履帯の自重でうまい具合に垂れてきますので、あとは微調整します。だいたい1時間以内なら調整可能です。乾燥すると少し収縮しますので、少したるませ気味にするのがコツです。起動輪を接着しないでおけば、乾燥後取り外して塗装するのも簡単です。

 

 

 

 

 

 

 

 

1コマ目
誤)D15 → 正)D18
誤)D22(D23) → 正)D23(D22)
誤)D18 → 正)D15
誤)D20(D21) → 正)D21(D20)
誤)D13(D14) → 正)D14(D13)
誤)D1 → 正)D11

2コマ目
誤)D13 → 正)D14
誤)D14 → 正)D13
誘導輪基部組立の囲みの中のランナー番号は全て、誤)D → 正)A

10コマ目
誤)C30 → 正)C31
誤)C31 → 正)C30

【誘導輪基部の組立手順について】 説明書がやや不親切なので補足します。
A23(A24)をシャーシに接着します。
A25(A26)とA10を仮組みします。
転輪(片側4個ずつ)のボギーを組み立てて、シャーシに接着し、水平を出します。
A10に誘導輪を仮止めし、A25(A26)をシャーシに嵌めて水平出しをします(カミ車の誘導輪は接地します)。
誘導輪の上下位置が決まったら、A25(A26)をシャーシに接着します。乾燥したら、履帯を取付け、A10の前後位置を調整します。標準位置は、A25の窪みの中で、A10が中央に来るあたりです。
誘導輪の前後位置が決まったら、いったん誘導輪を外し、A11、A10、A7を接着します。このとき、A23(A24)とA11は接着しないようにすると、水平が狂っていても修正が容易です。写真は起動輪の水平と前後を出した状態で撮影しましたので、ご参考になさって頂ければ幸いです。