タミヤ MM309 1/35 BT-7 1935年型 \3,800(+税)
これまでBT-7はズベズタとイースタンエクスプレスからキットが出ていました。残念ながら、ふたつとも「東欧キット」らしい水準の物で、満足のゆく出来ではありませんでしたが、ようやく誰でも組めて、かつ正確なプローポーションと精密なディティールを持つBT-7のキットが誕生しました。ノモンハン事変やバルバロッサ作戦に欠かせない役者として、今後長く愛されるキットになりそうです。

【実車について】アメリカ人のクリスティーが設計した「クリスティー戦車」は「自由の国」アメリカでは採用になりませんでしたが、革命を起こしたばかりで、先進技術を積極的に取り入れようとする空気に満ちていた当時のソビエトで大きな注目を浴びました。クリスティー戦車を元に、高速走行可能な足回りと傾斜装甲を取り入れたBT戦車は世界最先端の戦車としてデビューしました。このシリーズの最終進化形がBT-7です。
タミヤがキット化した1935年型は一番最初に量産された初期型です。俗に「馬蹄形砲塔」と呼ばれる、平面形が楕円で側面が垂直な砲塔を持ち、ドイツのBMWからライセンスを取得した航空機用ガソリンエンジンを搭載していました。
BT-7は、1939年に起きたノモンハン事変で実戦デビューしました。その際、当時の軍事常識で考えられない長距離を走破し、想定外の地点から攻勢をかけたため、日本軍の戦略を狂わせる事に成功しました。一方、機械化されていない歩兵部隊はBT-7に追随できず、単独で投入されたBT-7部隊は、精強な関東軍歩兵の肉薄攻撃や対戦車砲の前に大きな損害を出してしまいます。しかし、作戦指揮を執ったジューコフにとって、この損害は織り込み済みであったと言われており、彼の非情かつ怜悧な用兵がノモンハン事変の勝利をもたらしました。
その後ソビエト軍が採用したT-34やKV-1と言った戦車と比べると、武装や装甲で見劣りするBT-7ですが、1941年のバルバロッサ作戦でも、多くの部隊に配備されており、ドイツ軍を相手に激闘を繰り広げました。

※販売店用のサンプルはライトグレーで成型されていますが、先行販売品や通常販売商品はダークグリーンで成型されています。

キットは全体に、非常に薄く成型されており、弱装甲のBT-7の雰囲気を良く再現しています。パーツ構成もよく考えられており、例えば、機関室上部の整流板は車体天井と一体成型です。車体は箱組ですが、非常に精度が良く、初心者でもかっちり組み上がりますし、完成後の強度も非常に高いです。

機関室上部の湾曲したメッシュは付属の治具を使うことで、簡単に美しく整形することが可能です。

機関室上部のエアフィルターも非常によい雰囲気です。蓋は装着していない(もしくは紛失してしまった)車両もあったそうで、選択式になっています。

BT-7の特徴である大型のライトは透明部品が採用されています。また、牽引用チェーンは金属パーツが付属します。
写真では写っていませんが、操縦手ハッチの覗視孔に付く防弾ガラスも透明部品です。溶接跡が美しく再現された前面装甲板は隙間無く組み上がります。


鉢巻き型のアンテナは選択部品です。ノモンハン事変ではアンテナ装着車が優先的に狙われたようで、1937年型では、目立たないホイップアンテナに変更されています。

BT-7は、履帯を外し、転輪に動力を伝えることで更に高速走行することが可能でした。第一転輪は、この際にステアリングを切ることが出来るようになっていますが、キットはこの部分も精密に再現しています。全転輪のサスペンションは簡単な工作で上下可動することが出来、腕に自信がある方ならステアリングを可動にすることも可能でしょう。このように、組むだけなら誰でも出来るが、組む側の技量に合わせ、手を入れる余地も残してあるのがタミヤらしい設計です。

非常に高い精度で、かつ密度感たっぷりに仕上がっています。初心者でも実質2日ほどで完成しますが、手の早い人なら一日で完成するでしょう。

履帯は部分連結式で、説明書の指示順番に従って組んでいくだけで、簡単に仕上がります。上部の湾曲は最初から綺麗に弛みが再現されています。

主砲や排気管はスライド金型で一体成型され、穴も最初から開いています。見本では砲塔同軸機銃の先端のみピンバイスで開口していますが、それ以外はストレート組みです。